ラグビーの強豪国は、南半球と北半球に分かれて分布しています。南半球ではニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアが「ビッグ3」として知られ、常に世界のトップレベルを維持しています。北半球でも、イングランド、アイルランド、ウェールズ、フランス、スコットランドが強豪国として名を連ねています。これらの国が強さを維持できる理由には、充実した育成システムや国内リーグ、優れた指導者、そして豊富な資金が挙げられます。これらの基盤があるからこそ、長年にわたって安定して強いチームを作り上げているのです。
ラグビーの代表資格と選手の多様性
ラグビーの代表選手資格は、国籍に縛られない柔軟なルールが特徴です。選手は以下の条件のいずれかを満たせば、その国の代表としてプレーできます:
- その国で生まれた
- 両親または祖父母のうち1人がその国で生まれた
- 直近36ヶ月間、その国に継続して居住している
- 累計で10年以上、その国に居住している
このルールがある背景には、ラグビーがイギリス発祥で英連邦諸国を中心に発展してきた歴史があります。移住した選手が現地の代表として試合に出場できるよう、柔軟な規定が設けられました。その結果、多くの国の代表チームに外国出身の選手が含まれることになり、ラグビーは国際的な多様性が色濃く出ているスポーツのひとつとなっています。
ラグビーの国際舞台では、太平洋諸島出身の選手たち、いわゆる「アイランダー」が多くの国の代表チームに貢献しています。例えば、ニュージーランドやオーストラリアの代表チームには、サモアやトンガ、フィジー系の選手が数多く含まれています。また、日本代表チームにも太平洋諸島にルーツを持つ選手が在籍しており、これがチームの多様性と競争力を大きく高めています。
ニュージーランドは、歴史的・文化的に太平洋島嶼国と深い関係を持ち、サモアを含む多くの太平洋諸島出身者が移住しています。ニュージーランドには母国以上の人口のサモア人コミュニティが存在しており、特にラグビーの世界では、サモア系選手の影響が大きくなっています。2023年のラグビーワールドカップでニュージーランド代表オールブラックスの33人中約3分の1が太平洋諸島系選手でしたが、ニュージーランドで生まれ育ったサモア系の選手を含めると、チームの半分以上がサモア系選手という構成になるのです。浅黒い肌の選手はマオリ系と思われがちですが、実際にはほとんどがサモア系です。サモア系選手の優れた身体能力とニュージーランドのラグビー文化が融合して、オールブラックスは世界最強のチームの一つとしての地位を維持しています。
サモア出身の多くの選手が、母国ではなくニュージーランドの代表チームを目指す傾向が強いです。その理由には以下のようなものがあります:
サモア系選手の多くは幼少期からニュージーランドで育ち、現地のラグビー文化に深く根ざしています。そのため、元オールブラックスのマイケル・ジョーンズやケビン・メアラムなど、サモアにルーツを持ちながらニュージーランド代表として活躍した選手も数多くいます。
世界最強の素質を持つサモア
サモア人の優れた身体能力と運動神経は、ラグビー界でも広く認知されています。サモア人選手は、体重に対する筋肉量や骨密度の比率が他の人種を大きく上回るとされ、アメリカではサモア系の若者がNFL選手になる確率が一般の40倍にもなります。ラグビーの世界トップレベルでもサモア系選手が多数活躍しているため、「サモア人だけでチームを作れば最強」という意見もあるほどです。
しかし、ラグビー代表チームの強さは人種的特性だけでは決まらず、育成システムや戦術、経験など多くの要因が必要です。また、サモアは人口が少なく経済基盤も限られているため、多くのサモア系選手が経済的に安定したニュージーランドや他国の代表としてプレーすることが増えています。結果として、サモア出身の優秀な選手が他国で活躍し、母国の代表チームにその才能が残らない状況です。それでも、もし人種だけでラグビーチームを編成するなら、サモア系選手によって構成されたチームが世界一になれるはずです。二位はトンガかな。