へそがかゆくて汁が出てきた

おへそから膿や液体が出てくるのは、ちょっと気になる症状ですよね。実は、これって「臍炎」や「尿膜管膿瘍」などの感染症が原因になっていることがあるんです。通常、健康なおへそからは何も分泌物が出ることはありません。でも、細菌感染や尿膜管(お腹の中にある細い管のことです)が原因で、こうしたトラブルが起きることもあります。

 

おへそから分泌物が出る原因って?

おへそから何かが出てきて驚いた方もいるかもしれません。そんな時に考えられる原因をいくつかご紹介します。

  • 臍炎(さいえん)
     おへその細菌感染による炎症で、痛みや腫れ、悪臭のある分泌物が出てくることがあります。

  • 尿膜管遺残(にょうまくかんいざん)
     赤ちゃんの時に体にあった器官が残ってしまい、それが原因で膿や悪臭のある分泌物が出ることがあります。

  • 化膿性尿膜管嚢胞
     尿膜管遺残が原因で膿が溜まってしまうことがあり、発熱や下腹部の痛みを伴う場合も。

  • 臍腸管遺残(さいちょうかんいざん)
     こちらも体内の管が残ってしまうことが原因で、成長するにつれて症状が出ることがあります。

こうした症状がある場合には、早めに医療機関で診てもらうことをおすすめします。場合によっては、超音波やCT検査が必要になることもあります。

 

臍炎(さいえん)

おへそが赤く腫れて痛い、しかも悪臭のある分泌物が…そんな症状が出たら、「臍炎(さいえん)」というおへその細菌感染かもしれません。臍炎には次のような特徴があります。

  • 赤く腫れて痛む
     おへその周りが赤くなって、触ると痛みを感じることが多いです。

  • 悪臭を伴う膿や分泌物が出る
     おへそから嫌なにおいがする膿や液体が出てくることもあります。

  • 重症化すると発熱や腹痛も
     症状が悪化すると、発熱したり、強い腹痛が出ることも。

臍炎は、例えばおへその清潔が保たれていなかったり、尿膜管遺残といった生まれつきの要因があったりすることで発症することがあります。治療には抗生物質が使われることが多いですが、もし膿が溜まってしまったら切開して排膿する場合も。きちんと治療しないと、炎症が広がって重い合併症を引き起こす可能性もあるので、「これって臍炎かも?」と思ったら早めに医療機関で診てもらいましょう。

 

尿膜管遺残

尿膜管遺残は、ちょっと聞き慣れない言葉かもしれませんが、胎児のときに膀胱とおへそをつないでいた「尿膜管」という管が、出産後もそのまま残ってしまっている状態を指します。この状態について、知っておきたいポイントをまとめてみました。

  • 意外と稀な先天性のもの
     実は尿膜管遺残は成人の約2%程度に見られる稀な先天性異常です。

  • おへそからの分泌物や腹痛の原因に
     尿膜管遺残があると、おへそから分泌物が出たり、周りが痛んだり、さらには下腹部にも痛みが出ることがあります。

  • 感染すると症状が悪化することも
     もし尿膜管が感染すると、尿膜管膿瘍(のうよう)と呼ばれる膿のかたまりができ、発熱や腹痛といった症状が出ることも。

  • ごく稀に尿膜管癌へ進行する可能性も
     尿膜管遺残はごく稀に尿膜管癌に進展するリスクがあるので、診断を受けたらしっかりとした治療が大切です。

  • 治療法は?
     治療では、腹腔鏡下で尿膜管を摘出する手術が一般的です。この手術は低侵襲で、術後の回復も比較的早いのが特徴です。もし症状がある、または感染を繰り返してしまう場合は、早めに医療機関で相談してみましょう。

 

化膿性尿膜管嚢胞

化膿性尿膜管嚢胞(のうほう)は、ちょっと耳慣れないかもしれませんが、尿膜管遺残の一種で、この部分に膿がたまってしまう状態を指します。以下で、その特徴をざっくりご紹介しますね。

  • おへそから下腹部にかけての痛み・腫れ
     化膿性尿膜管嚢胞があると、おへそから下腹部あたりにかけて痛みや腫れが出てきます。これが長引くと生活にも影響しますよね。

  • 発熱やおへそからの悪臭のある分泌物
     場合によっては、発熱やおへそから悪臭を伴う分泌物が出てくることもあります。

  • 重症化で腹膜炎のリスクも
     もしこの状態が重症化すると、腹膜炎を引き起こす可能性もあるので、症状を放置せずにしっかりと対応が必要です。

  • どうやって診断するの?
     診断には超音波、CT、MRIなどの画像検査が使われます。こうした検査をすることで、尿膜管にたまった膿の状態が詳しくわかります。

  • 治療法について
     まずは抗生物質による治療で様子を見るのが一般的ですが、症状が良くならない場合や再発を防ぎたい場合は、腹腔鏡で尿膜管を摘出する手術が推奨されます。この手術は傷が目立ちにくく、手術後2日ほどで退院できることが多いのもポイントです。

症状がある場合は、早めに医療機関で相談して、安心して過ごせるようにしましょうね。

 

臍腸管遺残

臍腸管遺残(さいちょうかんいざん)は、胎児のころに中腸と卵黄嚢(らんおうのう)をつなぐ「臍腸管」という部分が生まれた後も残ってしまう先天性の状態です。ふだんはあまり意識することのない場所かもしれませんが、ここに何らかの問題があると、こんな特徴的な症状が現れることがあります。

  • ふつうは生まれる前に自然に閉じる臍腸管
     ほとんどの人は出生前にこの管が自然と閉じますが、まれに閉じきらずに残ってしまう場合があります。その場合、年齢が上がるにつれて症状が現れることが多いです。

  • 症状は年長児から成人期にかけて現れることが多い
     臍腸管遺残の症状は、年齢が少し上がった頃から出ることが多く、たとえばおへそからの分泌物や出血、腹痛などが典型的です。

  • 合併症もいくつかあります
     臍腸管遺残があると、腸が重なり合ってしまう「腸重積」や、腸の通り道がふさがる「腸閉塞」、おへその部分にできる「臍ポリープ」、さらには「メッケル憩室」などの合併症が見られることもあります。

  • 診断と治療法について
     診断には超音波やCT、MRIなどの画像診断がよく使われます。もし臍腸管遺残と診断された場合、通常は外科的切除による治療が行われます。同じように思われがちな「尿膜管遺残」とは異なり、こちらは腸管に関わる部分なので、手術の方法や治療方針も異なる場合があるんですよ。

おへそやお腹に何か気になる症状がある場合は、早めに医療機関で診てもらいましょう。合併症を防ぐためにも、適切な診断と治療が大切です。

 

へその分泌物、風呂上がりの乾燥でよくなった?知っておきたいケアのコツ

おへそからの分泌物が気になるとき、実は「お風呂上がりの乾燥」が症状に影響を与えていることがあるんです。お風呂の後は肌が乾燥しやすく、へその分泌物にも変化が出やすい状態になっています。皮脂や保湿成分が洗い流され、乾燥が進むため、過度に湿った環境を避けることで、おへその分泌物が改善される場合があるんですよ。

ただし、へその分泌物の原因が感染や先天的な異常による場合、単に乾燥させるだけでは不十分なことも。やっぱり専門的な診断と治療が大切になります。

お風呂上がりにできる簡単ケア

  1. ぬるめのお湯で入浴
     40℃以下のぬるめのお湯での入浴が理想です。熱いお湯は肌を乾燥させやすく、へその周りにも負担をかけてしまうことがあります。

  2. 入浴は10分程度で
     長湯を避けて、10分ほどの入浴がちょうど良いと言われています。皮膚のバリアを守りながら、適度に保湿成分を残すためです。

  3. おへそ周りは清潔に保つ
     毎日のシャワーやお風呂でおへそ周りもさっぱり洗い、タオルで優しく拭き取って乾燥させましょう。万が一、分泌物が続いたり悪臭がある場合は、医師に相談して指示に従ったケアを行うことが安心です。

もしもへそに気になる症状が出たら、簡単なケアで改善することもありますが、根本的な原因を見極めるために、症状が続くときは医療機関での診察を検討してみてくださいね。